母の故郷の少し北
海に来ている
ただ
美しい海を見に来たのではない
どうしても来られなかった
海に来ている
自分の目で確かめるために
失ったものと
守ったもの
町やいとなみを
呑み込んだ 津波
人は立ち上がり
歩こうと踏み出した
復活し繋がったレール
また、進もうとした
さなか
別の形で
過酷な刃を突きつけてきた
コロナという混沌
観光業は疲弊を避けられない。
復興と克服
もうしばらく時間は必要だろう
町をもちこたえるんだ
絶対にあきらめない
夕飯にホヤが出た
幼い頃
母の故郷から大量のホヤが
毎年送られてきた。
都会育ちの父は
喜んで食べた。
私はホヤが食卓に出ると
ゲッソリした。
においも苦手だった。
たぶん
まともに食べた記憶すらない。
今夜
初めてホヤを美味しいと感じた。
大人になったのかな。
旅は続きます‥。