shizukanakurashiのブログ

人生の砂時計 のこりの一粒まで自分らしく生き生きと

儲からない客

 私は偏屈な客だ


 「これ十年着ますから、勧められても

    あと十年来ません」と言って

     買ったことを覚えている。



 

 よくできた店員さんで

 「このデザイナーのコンセプトですから

   そう言って頂けて嬉しいです。」

      と送り出されたことも‥。


  

  たかが

   夏服のコットンパンツ。

  されど

   夏服のコットンパンツ。



 



 本当に十年着た。ことし11回目の夏。


  もう色は褪せまくっている。

 

  残念なことに

    私が働く自社の製品ではない。



 

  洗濯機でガラガラ回して

    カンカン天気に晒してきた。


 

 もはや流行りより

  自分にとって必要か必要でないかだ。



 どんなに高価で上質な服が

  お買い得でもいらないものはいらない。




 さてさて


 今年もご苦労様。とねぎらって しまう。

  

 前にも書いたが

  

 この業界にいると

 服のあわれを見過ぎて

 服に関しての欲がなくなっている。



 一目惚れだの 大人買いだの

 今年は絶対これ流行るだのと

 熱烈に欲しがられ

 比べられ 飽きられ

 丸めて押しやられ

 最後は邪魔物扱いだ


 かと言って

 新しい服のもつパワーは否定できない。


 ボロは着てても〜ぉ

    ココロはニシキぃ〜

  若い人には「なにそれ?」だろうな



 こざっぱり、こぎれいが いいな


 

  同じ店に昨秋また行ってきた。  


  「年金生活の前に

   長持ちする綿のコートを買いに来た。」


    と、はじめに言う。

    過剰な接客は苦手だ。

  


  「新作のお知らせお送りしますよ」

 

   DM配布の常套手段だ。


  「もう買える生活ではありませんので

   これが最後です。」と断った。


  嫌な客だと思われたかもしれないが

  商品を信用している愛の言葉だから

  大目に見てほしい。







   そして今となっては

    ウエストはゴム

    もたもたしない袖

    シワだらけが見苦しくない首元

    家で洗えるもの

    これだけでじゅうぶん。

 

    経済を回す為の

    無駄遣いは出来ないのだ。