くもの糸 Ve r.2020
こちらは、緊急事態宣言下の世界でございます。
相変わらずマスクが届かない。
生活費が心配だ。
食費がかさむ。
と庶民の私たちは血の池地獄を浮いたり沈んだりしておりました。
みんなは静まり返ってため息ばかり、毎日続く引きこもりで泣き声を出す力さえなくなっているのでございましょう。
ごうつくばりのカンダタは、テレビやゲームにも飽き、空からマスクやお札でも降ってこないかと空を見上げておりました。
すると静かな遠い天上のかなたから、銀色の🕷蜘蛛の糸、いや白い充電コードが、まるで人目にかかるのを恐れるようにスルスルと自分の上へ垂れて参るではございませんか。
「充電しなさいってコトか?
うまい儲け話かな?
マスクの極秘販売か?特効薬の先行予約か、
オレだけ助かる抜け道かもしれなきぞ。よし!」
カンダタは必死につかんでは
一生懸命にのぼり始めました。
「この自粛地獄からオサラバだ!
しめたしめた」
ところがふと気がつきますと、下のほうには数限りない人たちが一心に上ってくるではありませんか。
「これ何のギョーレツ?マスク安売り?」
「暇だからサバイバルゲームかな?」
「大気圏外ではコロナ死滅ってか、デマ情報確かめてみるさ」
自分一人でさえ切れそうな糸、どうしてこの人数の重みに耐えられることが出来ましょう。
「この糸はオレのものだぞ。降りろ降りろ」とわめきました。
その途端でございます。
今までなんともなかった蜘蛛の糸が急に
カンダタのぶら下がっている所から
ぶっつりと音を立てて切れました。
たちまちカンダタは また暗やみの底へ
まっさかさまに落ちて行きました。
お釈迦は極楽の蓮池のふちにたって、この一部始終をじっと見ていらっしゃいました。
やがてカンダタが池の底に石のように沈んでしまいますと、悲しそうな御顔をなさりながらまたお歩きになり始めました。
自分ばかり地獄から抜け出そうとするカンダタの無慈悲な心が、浅ましく思し召されたのでありましょう。
感染を止めるのに近道はありません。
自分だけの買い占めや
自分だけの自粛発散の外出が
せっかくあと一息の感染押さえ込みを妨げます。
「ここが我慢のしどころじゃ❗️
それからウマイ話は詐欺と疑うのじゃ❗️❗️」
気を緩めず
また家にいる時間も思いやりを忘れずに
今日は母の日。
みんな誰かに育ててもらったはず
会えない人にも心に感謝を
STAY HOME❗️
最前線で働く人たちに感謝。